軽自動車も車庫証明が必要?

軽自動車も車庫証明が必要?

普通車等の登録自動車車庫証明(自動車保管場所証明)を取らなければ、新車を購入したときの登録、中古車を購入したときの名義変更(移転登録)、あるいは住所変更(変更登録)などの登録をすることができません。

参考記事:車庫法からひも解く「車庫証明」の必要性

これらの手続きをするためには、いくら他の書類が完璧でも車庫証明書を添付しなければ手続きができないようになっているのです。(適用除外地域や名義変更などで「使用の本拠の位置」と「保管場所の位置」に変更が無い場合は不要)

これでは、新車を購入してもナンバープレートの交付が受けられず、車を公道で走らせることができません。

中古車の購入でも名義変更しなければ所有者も住所も相手方のままとなり、購入後のいろいろな手続きや権利関係に問題が生じてしまいます。

もっとも、これらの問題以前に道路運送車両法では、「所有者の氏名もしくは住所または使用の本拠の位置に変更があったときは、その事由があった日から十五日以内に国土交通大臣の行う変更登録の申請をしなければならない」(変更登録)としています。

移転登録も同様で、「所有者の変更があったときは、新所有者は、その事由があった日から十五日以内に国土交通大臣の行う移転登録の申請をしなければならない」としています。これらを怠ると罰則の対象になりますので、適切に手続きしておく必要があります。

では、軽自動車はどうでしょうか?

軽自動車は車庫証明は不要だが、「届出」が必要

軽自動車は、少し様子が違います。

普通車と根本的に異なるのは、軽自動車は、車庫証明(自動車保管場所証明申請)ではなく「車庫の届出(自動車保管場所届出)」を行う必要があると言うことです。
(呼び方としては、どちらも総称して車庫証明と呼ぶのが一般的ではあります)

したがって、軽自動車も「車庫証明」が必要がどうかの答えとしては、「車庫証明」は不要

でも「車庫の届出」は必要となります。

ただし、届出が必要なのは適用地域のみです。

福岡県では、福岡市、北九州市、久留米市(一部地域を除く)、大牟田市が車庫の届け出が必要な地域となっています。

それ以外の地域は届出不要ですが、適用除外地域から適用地域(届出が必要な地域)に引っ越した場合は車庫の届け出が必要になります。当然と言えば当然ですが、忘れがちなので注意する必要があります。

「車庫証明」は事前に、「車庫の届出」は事後に

違いをもう少し深堀りすると、車庫証明は、それが求められている手続き(新規登録・名義変更・住所変更など)の前に(事前に)準備しておく必要がありますが、届出である「車庫の届出」は、手続きの後に(事後に)行えばよいという手続きのタイミングに違いがあります。

つまり、軽自動車は新車を買ったり、名義変更したり、住所変更したりと、手続きを行ったあとに届出を行えばOKだと言うことです。

「自動車の保管場所の確保等に関する法律」には、次のように規定されています。

第五条 軽自動車である自動車を新規に運行の用に供しようとするときは、当該自動車の保有者は、当該自動車の保管場所の位置を管轄する警察署長に、当該自動車の使用の本拠の位置、保管場所の位置その他政令で定める事項を届け出なければならない。

自動車の保管場所の確保等に関する法律 第五条

また、軽自動車の購入や住所変更だけでなく、「保管場所の位置を変更したとき」も車庫の届出が必要です。これは普通車も同様で車庫の届け出を行う必要があります。

第七条 保管場所の位置を変更したときは、変更した日から十五日以内に、変更後の保管場所の位置を管轄する警察署長に、当該自動車の使用の本拠の位置、変更後の保管場所の位置その他政令で定める事項を届け出なければならない。

自動車の保管場所の確保等に関する法律 第七条(一部抜粋)

このように届出は法律上の義務なので、事後とは言え必須の手続きになります。また、変更等の事由があった日から15日以内に届け出る必要があるとされています。

車庫法には不届けの罰則も規定(第十七条第3項第一号)されていますので、すみやかに届出を行っておいた方が精神的にも安心です。

第十七条
3項 次の各号のいずれかに該当する者は、十万円以下の罰金に処する。
一 第五条、第七条第一項(第十三条第四項において準用する場合を含む。)又は第十三条第三項の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者

自動車の保管場所の確保等に関する法律 第十七条(一部抜粋)

第五条、第七条第一項は、上記に記載している条文に対応します。つまり、軽自動車を購入したのに車庫の届出しなかった場合、変更の届出をしなかった場合、虚偽の届出をした場合は罰金刑が課せられるとしています。

軽自動車の車庫の届出に必要な書類

基本的に普通車と同じです。

違いは、普通車の車庫証明で必要な「保管場所証明申請書」(2枚)が、軽自動車では「保管場所届出書」(1枚)に代わるだけです。他の書類は、普通車と同じです。

具体的には、以下のような書類を用意して保管場所を管轄する警察署に届出を行います。

  • 自動車保管場所届出書
  • 保管場所標章交付申請書
  • 保管場所の所在図・配置図
  • 保管場所使用権原疎明書面として以下のいずれか
    • 自認書(保管場所が自己所有の場合)
    • 保管場所使用承諾証明書(保管場所が他人所有の場合)

    自分が住んでいる家でも親と同居などで親名義の家(保管場所)の場合は、承諾証明書が必要です。「自認書」と間違うケースがたびたびありますので注意して下さい。

  • 所在証明書(必要な場合に以下のいずれか)
    • 公共料金の領収書等のコピー
    • 消印付きの郵便物の現物またはコピー

    所在証明書は、「申請者の住所」と「使用の本拠の位置」が異なる場合に「使用の本拠の位置」に生活の実態があるのか、支店等が稼働しているのかを証明するために必要な書類です。
    例えば、単身赴任などで住民票をまだ移してない場合。この場合、単身赴任先が「使用の本拠の位置」で、住民票の住所が「申請者の住所」となるため、「使用の本拠の位置」に生活の実態があるのかを所在証明で証明します。
    あるいは、本社が申請者で支店で車を使用する場合は、本社の住所が「申請者の住所」で、支店の住所が「使用の本拠の位置」となります。この場合も「使用の本拠の位置」(支店の住所)で支店がきとんと稼働しているのか、存在するのかを証明するために所在証明が必要となります。

なお、これまでは自動車保管場所届出書、保管場所標章交付申請書、および保管場所使用承諾証明書または自認書には押印が必要でしたが、すべて押印が不要になりました。パソコンで入力し、プリントしたものでも押印は必要ありません。

書類の書き方も難しくありません。平日に時間が取れる方は自分で手続きすることも十分にできますし、本人が警察署に出向けない場合でも書類を自分で作成すれば、あとの提出と受取りは家族など別の人が行っても大丈夫です。

届出に必要な費用

軽自動車では保管場所標章交付手数料として、550円(福岡県の場合)が必要になります。車に貼るステッカー・シールの交付手数料ですね。

普通車等は、加えて保管場所証明申請手数料2,200円(福岡県の場合)も必要ですが、軽自動車は届出のためこちらの手数料はかかりません。

自分で手続きをするなら、福岡県の場合、軽自動車が550円、普通車は2,750円(550円+2,200円)が必要だということなります。