法人で車庫証明を取得するときに気をつけておきたいこと
目次
法人申請でスムーズに車庫証明を取得するために
業種によって異なりますが、営業や運搬などを目的に会社で車を購入・使用する機会は多いものです。
会社で車を購入すると、普通車であれば会社が申請者となって車庫証明書の取得が必要になります。(軽自動車は適用地域において車庫の届出が必要)
車庫証明書は登録手続き(名義変更や住所変更)の際に必要となるとなる書類なので、取得が滞ってしまうと、なかなか登録ができず営業活動や事業計画に支障が出てくることもあります。そうでなくても、購入後はできる限りスムーズに車庫証明書を取得し、登録したいところです。
そこで、法人申請でスムーズに車庫証明書を取得するための気をつけるべきポイントをお話しさせていただきます。
その前に、特に問題とならない一般的なケースについてお話しします。
普通に申請して問題ないケース
- 「申請者」(車検証上の使用者となる法人)の住所と「使用の本拠の位置」の住所が同じ
- 使用の本拠の位置に社名が掲示・表示されている(福岡県の場合)
かつ
この場合は、通常の申請と同じように「車庫証明申請書」、「使用承諾書または自認書」、「所在図・配置図」を準備して申請すれば問題ありません。(車庫証明の申請に必要な書類)
もちろん、申請書に誤りがあったり、保管場所の位置・区画が違ったり、申請内容と実態が異なっていれば、法人・個人問わず申請は通りません。この点は一般的な注意点として申請前にしっかりと確認するようにして下さい。
ポイントは、「使用の本拠の位置に社名が掲示・表示されている」かどうかという点です。
通常、会社であれば、看板を設置していたり、事務所入口に社名が表示されていると思いますので、「申請者」の住所と「使用の本拠の位置」の住所が同じであれば社名の表示有無を意識せずとも、普通に申請すれば問題ありません。
問題は、警察署による調査の際に「使用の本拠の位置」に社名表示がなく、会社の存在が確認できない場合。これが「法人申請で気をつけるポイント」の一つです。
では、この点を含め「法人申請で気をつけること」をお話ししたいと思います。
法人申請で気をつけること
法人申請で以下のケースに該当する場合は、ちょっと手間をかけるだけでスムーズに車庫証明を取得する事ができます。余計な時間や負担を回避するためにも下記のポイントを参考に申請していただければと思います。
再提出などで出直しになると何度も警察署に出向かなくてはならくなりますので、ちょっとした手間を惜しまず準備することをオススメします。
なお、ここでは福岡県で車庫証明を取得するときのケースになります。ローカルルールにより他の都道府県では取り扱いが異なる場合がありますので、あしからずご了承下さい。
(1)「使用の本拠の位置」に社名表示がないケース
まずは、先にお話しした、申請者の住所と「使用の本拠の位置」の住所は同じだが、「使用の本拠の位置」に社名表示がないケースです。
昨今、1人会社やスモールビジネスとして自宅やアパート・マンションの一室を事務所として利用するケースがあります。
このケースでは、看板や表示をしていないこともあり、そのままでは車庫証明を取得することができません。つまり、活動実態の確認がとれるまで車庫証明書が交付されないことになります。(福岡県の場合)
では、どうすればいいのか?
申請書など通常必要とされる書面に加え、
使用の本拠の位置で活動していることを証明する「所在証明」を追加資料として添付する
ことで解決できます。
所在証明というと大げさに聞こえるかも知れませんが、基本的には使用の本拠の位置の住所と社名が入っている書面または印刷物で、第三者が発行したもの、または公にされているものであれば所在証明として使えます。
その所在証明でもっとも確実なのは「公共料金の領収書」です。
電気・水道・ガス・固定電話などですね。
個人契約で個人名で発行されている場合は使えませんが、会社で契約していれば、いずれかは存在するのではないでしょうか。
ポイントは、領収書の中に「使用の本拠の位置」の住所と社名(申請書の申請者欄記載の社名)が入っている必要があることです。証明の目的を考えると当然ではありますが、申請者(車の使用者)の会社がそこにあり、活動していることを証明する必要があるからです。
個人で契約している場合は使えませんが、法人で契約していれば領収書内に社名・住所が記載されていると思います。その書面により使用の本拠の位置でその会社の支店等が活動していることを証明するわけです。
紙の領収書が発行されない場合は、Web明細サービスなどのネットで利用状況が確認できる画面または明細PDFを印刷し添付することもできます。この場合、社名・住所が記載されている部分を含めて印刷します。
その他、証明証明として使える書面は「車庫証明の所在証明に使える書類は何?」で解説していますので、よろしければ参考にして下さい。
もっとも、このケースでは看板や表示がないことが問題となっていますので、申請前に社名の看板や表示(掲示)をすれば別途書面を提出する必要はなくなります。
看板は難しくても、事務所の入り口や集合ポストに社名のプレートやシールなどを貼ることはできると思います。ただ、紙に手書きで書いて貼る程度では認めてもらえない場合もあります。少なくとも印字したものを全面に透明テープで貼る程度はしておいた方がよさそうです。これは、設立したばかりで領収書がない場合にも使えるかと思います。なお、表示は誰でも立ち入れる外部から確認できる必要があります。オートロックを入った玄関ドアへの掲示は認められない可能性がありますので注意して下さい。
(2)「申請者住所」と「使用の本拠の位置の住所」が異なるケース
「車庫証明の申請者(車検証上の使用者)」の住所と「使用の本拠の位置」の住所が異なる場合は要注意です。
例えば、東京の本社(申請者)が本社名義で車を購入し、実際に使用するのは福岡の支店(使用の本拠の位置)といったケースがあたります。この場合、福岡支店で活動していることを証明できる所在証明が必要になります。
例えば、申請内容が下記のような場合ですね。
【申請者】株式会社行政太郎
【申請者住所】東京都港区新橋〇丁目◇‐△
【使用の本拠の位置】福岡県福岡市博多区博多駅前△丁目〇‐◇
所在証明として領収書を利用する場合は「使用の本拠の位置の住所(福岡市博多区博多駅前・・・)」と「株式会社行政太郎」の記載がある必要があります。申請者の社名が入っていれば、福岡支店や博多営業所などが社名の後に記載されていても問題ありません。
これは本支店が同じ都道府県内にある場合も同様です。例えば、福岡県福岡市中央区にある本社が「申請者」、福岡市南区にある支店・営業所が「使用の本拠の位置」といった場合です。
あくまで、「申請者」の住所と「使用の本拠の位置」の住所が異なる場合は、「使用の本拠の位置(支店等)」の所在証明が必要であると覚えておいて下さい。
所在証明に使える書面については、上記と同様で、確実なのは公共料金の領収書です。(本社契約など本社に領収書が届く場合は、使用の本拠の位置の住所が記載されていないため使えません。また、個人契約の場合は、社名が記載されていないため使えません)
また、支店や営業所を開設したばかりで公共料金の領収書が存在しない場合、あるいは公共料金は本社が一括管理していて支店や営業所宛ての領収収書が存在しないことがあります。
このような場合は、支店等に宛てられた「消印付きの郵便物」を所在証明書として提出すればOKです。
「消印付きの郵便物」も公共料金の領収書と同様、その支店等の住所(使用の本拠の位置の住所)と社名が記載されている必要があります。あまり古い消印だと認められない場合がありますので、できる限り直近の郵便物を提出した方がよいでしょう。
なお、所在証明がなくても看板等の掲示があれば認めてもらえる場合もあります。ただ、認めてもらえなかった場合は所在証明の提出に再度警察署に出向かないといけなくなってしまいますし、提出タイミングによっては交付日が伸びる場合もあります。こうなると準備していれば必要のなかった手間が余計にかかりますし、名義変更や住所変更の手続き日程にも影響してきます。
そのため、申請者住所と使用の本拠の位置が異なる場合は、所在証明を提出することを前提に申請することを強くオススメします。
自営業の場合は?
自営業を営んでいる場合も同様です。
例えば、福岡県春日市に自宅があり、福岡市博多区に店舗を設けて自営業を営んでいるケース。
この場合に店舗で使う車を店舗や近くの月極駐車場に保管する場合は、所在証明が必要になります。
(ただし、自宅から保管場所まで2km以内であれば、使用の本拠の位置の住所を申請者住所と同じにして一般的な形で申請するこも可能。この場合は一般的な個人申請となり所在証明は不要)
個人の場合、自動車の登録において使用者となるのは住民登録している人であり、その住所は住民票または印鑑証明書の住所です。そして、登録時に使用者となる人が車庫証明の申請者となります。使用の本拠の位置は、実際に車を使用する拠点である店舗の住所です。
それにより、車庫証明の「申請者」住所と「使用の本拠の位置」の住所が異なることなり、「使用の本拠の位置」である店舗での活動実態を証明するために所在証明が必要となるわけです。
所在証明書は公共料金の領収書など法人と同様です。その領収書等には「使用の本拠の位置」の住所と申請者の氏名(個人名)が記載されている必要があります。
(3)申請者の氏名欄は社名だけではNG
車庫証明の申請書に申請者欄には、申請者の住所・氏名(名称)を記載します。
個人であれば、そのまま住所・氏名を記載すればいいですが、法人では少し気をつけるべき点があります。
それは、氏名欄には会社名だけでなく、代表者役職と代表者名も記載する必要があるということです。
例えば、株式会社〇△□ が申請者の場合
株式会社〇△□ 代表取締役 福岡 太郎
と記載する必要があります。
これは、下記の使用承諾書の記載においても同様です。
関連記事:車庫証明の申請書の書き方「申請者」
(4)使用承諾書の「保管場所の使用者」は「申請者住所」を記載する
保管場所使用承諾証明書(以下、使用承諾書)の「保管場所の使用者」欄の記載内容は、「申請者住所」と「使用の本拠の位置の住所」が異なる場合に注意が必要です。
福岡県の場合、使用承諾書の「保管場所の使用者」欄は、車庫証明の申請者住所・氏名と一致する必要があります。(福岡県以外では使用の本拠の位置を記載する様式もあります)
よく起こりがちな間違いは、支店等の「使用の本拠の位置」の住所を記載してしまうことです。「保管場所の使用者」と書かれているので、実際に使用する支店等の住所を記載してしまうのも無理ないことかも知れません。
しかし、福岡では使用承諾書の使用者が申請者と違う場合、再提出を求められます。それにより管理会社等にもう一度使用承諾書を発行(または訂正)してもらう必要がでてきます。
そのため、使用承諾書の「保管場所の使用者」欄には、必ず(車庫証明申請書の)申請者欄の住所・社名(代表者役職・代表者氏名を含む)を記載するようにして下さい。
なお、現在のところ警察署間で取り扱いにばらつきがありますが、使用承諾証明書の「保管場所の使用者欄」に『自動車の使用の本拠の位置欄と同じです』と記載がある様式(福岡県の様式にはこの記載はありません)を使用する場合は、車庫証明申請書の「使用の本拠の位置」の住所を記載していても認められる場合があります。
また、押印が不要になったこともあり、訂正する場合に二重線で消して訂正(訂正印不要)することが認められる場合があります。実際、保管場所の使用者欄に「使用の本拠の位置」の住所が記載されていた使用承諾証明書(福岡県の様式)を預かった際にその住所を丸ごと二重線で消して、余白に申請者住所を記載したものが認められました。
ただ、取り扱いに差がありますので、「保管場所の使用者」欄に何を記載すればいいのか迷ったら申請者の住所・社名等を記載する。これだけを覚えておいて下さい。
スムーズな車庫証明取得に向けて
法人申請で気をつけるポイントを見てきましたが、どれも用意や記載にさほど手間がかかるものではありませんし、難しいものでもありません。
しっかり準備することで無駄な手間が省けてスムーズに車庫証明を取得することができます。
ぜひ、これらのポイントを押さえて、一発で車庫証明を取得して下さい。
もし、車庫証明で分からないことがありましたら、ご連絡下さい。ご自分で申請する場合など「依頼する予定はないけいど分からないことが・・・」といった場合でも歓迎します。お気軽にどうぞ^^